本県の「在宅重度障害者等手当」は、高度経済成長期、在宅の障害者への福祉サービスの提供が十分ではなかった時代を背景にして、在宅の重度障害者や介護にあたる家族の福祉の増進を図るため、当時としては全国的にも先駆的な取組みとして、昭和44年度に創設され、その後他の都道府県においても制度化されるきっかけになった大きな意味を持つ制度である。
具体的には、毎年4月1日現在、県内に1年以上居住している在宅の重度障害者に対し、7月及び12月の2期に分割して支給される。@1級または2級の身体障害者手帳を持ち、且つ知能指数が35以下の方については年額6万円A1級または2級の身体障害者手帳をお持ちの方、知能指数が35以下の方、3級の身体障害者手帳を持ち且つ知能指数が50以下の方については年額3万5千円B3級の身体障害者手帳をお持ちの方、知能指数が40以下の方、4級の身体障害者手帳を持ち且つ知能指数が50以下の方については年額2万5千円の支給となっている(ただし、4月1日現在で施設等に入所されている方、精神障害の方、 知的障害を伴わず65歳以上で新たに身体障害者手帳を取得した方は除外される)。
神奈川県では、約12万9千人(今年4月現在)に、総額43億7千万円余りを支給しており、全国で最も多い支給者数となっている。平成14年度時点で、この制度は本県を含む18都道府県において設けられていたが、平成15年度の支援費制度の創設を境に、制度の廃止を含めた見直しが行われてきた。ちなみに平成15年度以降、山形県、奈良県、和歌山県、北海道と相次いで廃止され、最近では、秋田県が平成20年度をもって廃止している。
神奈川県では、平成18年7月に策定した「かながわの障害福祉グランドデザイン」に、個人を対象とする一律の現金給付を見直し、その財源を、地域生活を支えるサービスの充実を図るための財源に転換する方向性を位置付け、検討が進められてきた。昨年の4月には障害者団体や市町村を対象にしたアンケート調査を行い、12月にはパブリックコメントを実施するとともに、障害者施策説明会を開催し、障害者団体に直接、手当制度の見直しや地域生活支援施策の充実の方向性について説明するなど、障害者当事者や県民の意見をお聞きする機会を作ってきたとのことである。
本年2月定例会に、支給対象者を在宅で常時介護を必要とする重度重複障害者など8千人余りに絞り込み、所得制限を導入することにより重点化を図る、今回の条例案が提案されたが、私たち民主党は、見直しによる財源で取り組む施策の内容について、さらに議論を重ねる必要があると判断し、継続審査としたところであった。今回の常任委員会の議論では、5年に渡り施策を推進する「かながわ障害者地域生活支援推進プログラム大綱」について、更に具体的に質疑を行った結果、実効あるものとするために全力を尽くすという意気込みは理解したが、私たちなりの障害者団体等への独自のヒアリングも踏まえると、手当が打ち切られることになる方々の理解が必ずしも十分でないと判断し、修正案提出に結びついた。手当の支給を受けてこられた方々、即ち障害を持ちながら在宅で頑張っている方々に思いを馳せながら、継続審議に続き、原案修正という苦渋の決断をした。今後、見直しによる財源で、しっかりと地域生活の支援に取り組み、障害者が安心して暮らせる基盤を整備していかなければならない。その意味でも、「かながわ障害者地域生活支援推進プログラム大綱」の着実な推進が望まれるし、議会としても、その検証をしなければならない。
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