2008年07月11日

ストップ!ザ・受動喫煙

 昨日で6月定例議会が終了した。今年度、神奈川県政最大の課題の一つである「公共的施設禁煙条例(仮称)」についての議論が具体的にスタートした。4月15日に知事から「基本的考え方」が示されると、全国ニュースなどを始めとして多くのマスコミでも取り上げられ、県民や事業者などからの手紙、電話、メールなども1週間あまりで500件を超し、引き続き実施された「パブリック・コメント」での意見を合わせると、わずか1ヶ月間で2400件もの意見が寄せられた。県では、条例の制定や施策の実施にあたり、県民からの意見募集に努めるようにしているが、それでも県民から寄せられる具体的な意見の数は、通常非常に少ない。これだけの反響を呼ぶ事態になっていることは、県政史上例を見ないことである。
 今回の禁煙条例の基本的な考え方を一言で言えば、「受動喫煙を防止するために不特定多数の人々が利用する公共的施設での喫煙を原則として禁止し、その義務に違反した場合には一定の手続きを経た上で罰則を適用する」というものである。「公共施設」だけでなく、「不特定多数の人々が利用する公共的施設」は、レストラン、居酒屋などの飲食店やパチンコ、ゲームなど遊技場などの民間施設まで含まれるため、そうした事業者からは、一律規制や罰則などに対して根強い反発がある。
 今回、厚生常任委員会の議論の中で、「公共的施設禁煙条例」という名称ではなく、「受動喫煙防止条例」とすべきであるという意見が出され、県当局も名称変更を含めて改めて検討していく考えを示した。知事自身、名称について「受動喫煙防止条例」の方が「条例の狙いが伝わりやすいかもしれない」と『中央公論』8月号(「ストップ!ザ・受動喫煙 神奈川県が禁煙条例制定に立ち上がった理由」)で述べている。しかし私は、「公共的施設禁煙条例」と「受動喫煙防止条例」では内容が異なるものになると考える。「公共的施設に於いて、非喫煙者や店舗従業員などの受動喫煙を防止するために、喫煙そのものを禁止する」という中身であれば、完全禁煙を原則とするものになる。しかし、「受動喫煙防止条例」であれば、受動喫煙を防止するための方策―例えば施設が「完全分煙」の実施に取り組む、あるいは喫煙・非喫煙・分煙店舗であることの表示の義務付けなどで、入店時に利用者が各自で判断すればよい―などを取れば問題ないという、「例外を設けること」が原則となりはしないか。県当局が、公共的施設は本来一律に完全禁煙としたかったが、各種業界団体等の意見を踏まえると、現在の神奈川県では完全禁煙は不可能であるという判断のもと、ハードルを下げて現実的な対応をする方針に舵を切ったと私は受け止めている。
 昨日知事は、世界最大のタバコメーカーであるフィリップ・モリス社と懇談し、同社から提案を受けた。その中身は、規制の第一歩として、レストラン、パチンコ店などは各施設が喫煙、禁煙、完全分煙のいずれかを選択し、店の入り口に分かるように表示することを義務付けるという「民間施設選択制」の提案であった。知事は、「民間施設を不安にさせない方法で、受動喫煙防止を進めて行きたい。今日の提案も参考にしながら条例の内容を総合的に判断する」(神奈川新聞)と述べ、今後は現実的な対応を図りながら条例制定を実現する考えを示した。
 今後の動きとしては、9月定例会で条例骨子案が示されることになると思われる。言うまでもないが、条例が目指す本来的な趣旨である「受動喫煙による健康被害から県民を守る」という点が崩れるようなことがあってはならない。営業の自由、喫煙者の権利への配慮も必要であるが、そこに囚われすぎて、条例の主眼を崩すことになるのであれば、条例制定などしないほうが良いかもしれない。県会議員の見識と良識が問われている。
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posted by 齋藤健夫 at 18:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療・福祉の諸課題について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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