しかしながら、健康増進法第25条では「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。」(平成15年5月1日施行)と規定されており、罰則のない努力義務ではあるが、法律が目指している方向性と現実が大きく乖離しているのが実態である。
また、国際条約である「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(略称 たばこ規制枠組条約)」にも日本は平成16年に署名し、更に昨年7月に行われた「たばこ規制枠組条約」第2回締約国会議において、自国での条約発効後5年以内(日本では平成22年2月27日まで)に屋内施設の100%完全禁煙を実現するための法的規制をとることを求める「条約第8条(受動喫煙の防止)履行のためのガイドライン」が、日本を含め全会一致で採択されている。これに伴って欧米各国でも、また香港などアジアでも厳しい罰則を伴う法律が施行され、非常に早いスピードで公共的施設での全面禁煙が進んでいる。客観的に見て日本は受動喫煙対策が甚だしく遅れていると国の一つ言える。
そうした中で、神奈川県では公共的施設での受動喫煙を防止するために、一つのルールを定めようとしているわけであるが、これは本来国が対策をしっかり考えるべきことでもある。タバコそのものは合法であるわけで、健康に本当に悪いのであれば、法律で禁止することを国会で決めてもらわねばならない。しかし嗜好性に任されている現状では、受動喫煙を防止するための措置をしっかりと講ずることが必要である。何よりも感ずるのは、喫煙者のマナーの問題である。路上での歩き煙草、喫煙が許される店舗であっても、まるで周囲に配慮なく、遠慮なくタバコに火を付ける人々、こうした人々を見ると100%完全禁煙にしなければならないなと感じてしまうものである。法律や条例で禁止、それも罰則付きで禁止するなどという情けないことをするのではなく、例えタバコを吸って良い場所であっても、周囲に子どもや女性、病の人々などがいないかを確かめるという、人として最低限のマナーを守るのが、本来の姿であると思う。そうした周囲への配慮を忘れてきた結果が、こうした条例を制定しなければならない背景にあると私は考える。私自身は、飲食店、居酒屋、一杯飲み屋、遊技場などまで100%完全禁煙にするのは困難であると考える現実論者でもある。だからこそ喫煙者は、条例の有無に関わりなく、喫煙マナーを改めて考えていただきたいと思う。
もう一つ大きな課題は、タバコ税の問題である。タバコ一箱300円あたり180円余りが税金であり、国・都道府県・市町村での税収を合計すると年間2兆円を超す大変大きな金額になることから、国では財務省が、また地方自治体もタバコ対策に積極的でないのはある意味で当然である。タバコ税に依存しない税体系を構築しなければ、とても本格的なタバコ対策は進められないし、現実にタバコ税に大きく依存しながらタバコを止めて下さいなど、とても言えるものではない。今後、本格的なタバコ対策を進めるには、どうしても国に動いてもらわなければならないが、「公共的施設」の範囲、段階的な導入の可否、罰則についての考え方など、現実にタバコを取り巻く業界の方々からの意見聴取を踏まえた現実的な対応をしながらも、国の動きに先んじて、神奈川で一つのルールを作って行こうという取組みに、私も全力で取り組んで行きたい。






