2008年05月12日

兵庫県立粒子線医療センターに行く(2)

 粒子線治療においては、保険適用の課題も重要である。現在、粒子線治療は保険適用外である。したがって、全額患者の自己負担であり、一連の粒子線照射につき288万3千円になる。それ以外の入院・検査費用等については健康保険適用になるが合計すると300万円を超す大きな負担である。これだけ高額の治療を受けることが出来る方は、それだけで人数が限定される。しかし、これを保険適用にすべきかというとそれはまた別問題である。例えば、小児がんや、頭頚部がん、頭蓋底がんなどを保険適用にするなども一つの方策かもしれないが、これは国の課題である。
 神奈川県でも今、粒子線治療装置の導入が検討されている。群馬大学医学部で来年導入予定の重粒子線装置と同型のものを検討しているようであるが、導入費用は125億円あまりである。陽子線の場合、年間600人あまりの患者数で収支均衡に、重粒子線の場合には1000人以上の患者数でないと赤字化するということであるので、神奈川県で1000人以上の患者を治療することが出来るのか、慎重に検討しなければならない。続きを読む

2008年05月11日

兵庫県立粒子線医療センターに行く(1)

 全国自治体で初めて粒子線治療を開始した医療機関である兵庫県立粒子線医療センター(菱川良夫院長 兵庫県揖保郡新宮町)を訪問した。新幹線・山陽本線の相生駅から車でおよそ20分、緑豊かな播磨科学公園都市の中にあり、世界最大級の大型放射光施設(Spring-8)と隣接しており、同施設の高度診断機能も活用している。陽子線と炭素(重粒子)線を備えた世界で唯一の施設である。建設費は総額280億円あまり、1994年から臨床試験を開始し、2003年からは一般診療が開始された。
 そもそも粒子線治療とは、陽子線・重粒子線を用いた治療のことである。陽子線・重粒子線は、X線と比較をすると、体表面より体の内部で放射線量が最大になり、がん病巣よりも深いところには放射線が達しないという特性を持つ。従ってピンポイントで重点的にがん病巣を攻撃することが出来、しかも副作用などの患者への肉体的な負担もない。陽子線は、X線照射と同程度のがん細胞殺傷能力であるが、重粒子線はX線よりも強い殺傷能力を持つ。従って、より大きな腫瘍には重粒子線照射が優れているとも言われる。
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2008年05月05日

NHKスペシャル『二人だけで生きたかった〜老夫婦心中事件の周辺』(91.6.9OA)

 「二人だけで静かな老後を過ごしたい。多くの老夫婦が、そんな願いとともに暮らしています。しかし、愛する夫や妻がもしも痴呆になってしまったら…。夫婦のどちらかが病に倒れたとき、そのささやかな願いでさえ困難なものとなってしまうでしょう」名優・佐野浅夫さんの穏やかなナレーションで始まるNHKドキュメンタリーの秀作を久しぶりに見直してみた。この番組は、東京都大田区に住む老夫婦が、同居していた長男夫婦のマンションを出て、新潟県直江津の海岸で入水自殺するまでの25日間の足取りを克明に辿ったものである。今から17年前、日本経済がバブルの絶頂で浮かれていた時期に、冷静な時代分析と綿密な取材力を誇る報道番組部・中村均ディレクター(当時)によって作られたものである。NHK報道番組部と言えば、最前線の「いま」を追いかけるところであるが、そうした部署にいながらにして、新聞の片隅の記事で終わりかねなかった老夫婦心中事件に光を当て、今後予想される急速な高齢化社会を前にした高齢者介護のあり方に一石を投じたところに、続きを読む

2008年05月04日

繰り返される在日米軍兵士による重大犯罪

 3月に横須賀市汐入町で東京都品川区に住むタクシー運転手が殺害された事件で、米第七艦隊・イージス巡洋艦「カウペンス」のナイジェリア系乗組員(22)が県警に逮捕され、先月24日、強盗殺人と銃刀法違反容疑で起訴された。容疑者逮捕のとき、シーファー駐日大使は「心から遺憾の気持ちを伝えたい。大変に申し訳なく思っている」と陳謝する一方で、日米地位協定の見直しについては「捜査では日米が全面協力し、地位協定が非常にうまく機能した。だからここで改正する必要はない」と、本気で反省しているとは思えない発言をした。高村外務大臣まで同様の発言をし、大変残念な思いである。起訴前の米兵の身柄引渡しは、日米地位協定の運用改善合意に基づくものであるが、私は独立国として根本的には地位協定そのものを見直さねばならないと強く思っている。
 今回の事件の持つ意味を、私たち日本国民は改めて良く考えなければならない。なぜ米兵が、横須賀基地から脱走できたのか、在日米海軍の兵士管理はどうなっていたのか、続きを読む

2008年05月03日

神奈川県公共的施設禁煙条例の制定に向けて

 松沢知事が本年度中の条例化をめざしている「公共的施設禁煙条例」(仮称)をめぐり、各種団体などを始めとして様々なところで議論が巻き起こっている。1日の定例記者会見で松沢知事は「段階的に規制をかけることで、施設管理者や喫煙者から理解を得る期間として使うこともありうる」と述べ、営業形態等により導入時期をずらす可能性もあることを明らかにした。飲食店や娯楽施設などからの根強い異論に配慮した格好である。一律禁止の方向性については、新聞各紙ですら賛同出来ぬという趣旨の意見の方が多い感がある。しかし、ここで私が思い出すのは、「がんへの挑戦10ヵ年戦略〜がんに負けない神奈川づくり」(平成17年)を策定したときの議論の推移である。当初この計画案では、県民の喫煙率を下げるための具体的な数値目標が掲げられていたが、厚生常任委員会における議論の末、撤回された経緯があった。議員一人ひとりが、仮に自分が喫煙者であったとしても、厚生常任委員としての見識を示すべき場面ではなかったかと、私は今でも感じている。続きを読む

2008年04月30日

セカンドオピニオンについて思うこと(2)

 私が県会議員として関わる神奈川県立がんセンターでも、セカンドオピニオン外来を開設している。神奈川県立がんセンターのHPによれば、セカンドオピニオンとは「主治医以外の医師の意見を聞くことにより、患者さん自身が治療法を自己決定するのに役立てていただくものです」とある。東京大学医学部付属病院でも、「セカンドオピニオン外来では、当院以外の主治医におかかりの患者さんを対象に、現在の診断・治療に関して当院の専門家が意見を提供いたします。その意見や判断を、患者さんがご自身の治療法を選ぶ際の参考にしていただくことが目的です」とある。どちらも、あくまでも主体は患者であり、患者自身がどうするかを決める、いわゆる「自己決定」に基づく権利であるという趣旨で書かれている。しかし、一方で「セカンドオピニオン」は主治医の義務でもあるのではないだろうか。患者は専門家でない。「自己決定権」は勿論言われるまでもなく憲法上の人権であり、何も今更病院に言われるまでもないことである。セカンドオピニオンは本来、主治医の判断と責任で、主治医からの判断で積極的に進めるべきことでもある。続きを読む

2008年04月25日

セカンドオピニオンについて思うこと(1)

 このところ、がんに罹患された方、あるいはそのご家族から相談を受ける機会がとても増えている。県民のおよそ2人に1人ががんに罹患するという深刻な現実を肌で感じる日々である。私自身、妻を胸腺腫という病で亡くしているので、がんについては我が身のこととして厳しい体験をしてきたつもりである。それでも、自分自身ががんであることが分かったときに、どんな思いを抱き、どんな精神状態で日々を過ごすことになるのかということを自分自身のこととしてリアルに考えようとすると、実は何も分かっていないことに気づかされる。がんになったという事実をどう受け止め、どう治療に立ち向かって行けば良いのか、家族のこととして経験をしていながらも、私はまだ自分自身のこととしては本当の意味では分かっていない。だから、がんに罹患された患者の方々の気持ちが分かるなどと言うつもりは毛頭ない。現実にがんであることが判明したときに、どの病院で、どの医師に、どのような具体的な治療を施してもらえば良いのか、続きを読む

2008年03月28日

犯罪被害者等支援条例について(代表質問)

 (平成19年6月 齋藤健夫代表質問より)
 昨今の治安情勢を振り返ると、平成14年に最悪となった治安情勢からの脱却を図るため、国は治安対策を最も重要な政策課題として掲げ、取り組みを進めてきました。本県においても、松沢県政一期目において、悪化の一途を辿っていた治安に歯止めをかけるため、安全・安心まちづくり条例を制定するなど、県民、県当局、県警察が、正に三位一体となって治安対策への取り組みを強力に進めてきたわけであります。こうした努力の結果、翌年以降、刑法犯の認知件数は年々減少を続け、一方、検挙件数は年々上昇するなど、大変良好な結果を残しております。しかし、ここ数年の犯罪実態を具体的に見ると、小学生等の社会的弱者が極めて身近な場所で凶悪な犯罪に巻き込まれるなど、想定外の犯罪が発生し、更には路上強盗やひったくりなど身近な犯罪も依然として見られるところであり、治安が順調に回復の基調にあるとは言っても、想定外の事件にいつ誰が巻き込まれてもおかしくない状況にあります。安全・安心にかかわる質問の第一は、続きを読む

2008年03月27日

第5回神奈川県犯罪被害者等支援に関する有識者懇談会を傍聴

 今日は午後から県庁内で「第5回神奈川県犯罪被害者等支援に関する有識者懇談会」が開かれた。懇談会のご報告の前に、このところ連続して発生した許しがたい事件について触れておきたい。茨城県土浦市のJR荒川沖駅では8人連続殺傷事件が、JR岡山駅ではホームへの突き落とし事件が起きるなど、何ら無関係な善良なる市民が事件に巻き込まれて犠牲となる現実に、全くやり場のない気持ちで一杯である。事件に突然巻き込まれたご本人、ご家族、ご友人、どこにその怒りの矛先を向けたらよいのか分からずに悲しみの中で困惑、当惑しておられるに違いない。昨年12月にも、長崎県佐世保市のスポーツクラブで散弾銃乱射事件が発生し、尊い命が失われた。被疑者自殺という最悪の結果に至り、事態の真相が解明されずにいる。犠牲となられた方々のご冥福と、負傷された方々の一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げたい。事件の発生そのものを食い止められる可能性があったのではないかと思うと残念でならない。続きを読む

2008年03月26日

「かながわ高齢者保健福祉計画」の改定に向けて

 昨日の社会福祉審議会では、身体障害者福祉専門部会に続いて全体の総会が開かれた。この総会の議題は「かながわ高齢者保健福祉計画の改定について」であった。そもそも「かながわ高齢者保健福祉計画」とは、平成18年3月に策定されたもので、「高齢者が安心して、元気に、いきいきと暮らせる社会づくりの実現」を計画の基本目標とし、平成18年度から20年度までの3ヵ年で、来るべき超高齢化社会に向けた準備段階として、以下の3つの重点課題と、3つの数値目標が掲げられている。
(1)介護予防重視型システムへの転換・地域ケア体制の充実
(2)サービス提供基盤の整備
(3)戦後生まれの「団塊の世代への対応」
 数値目標としては以下3項目が掲げられている。
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